福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
最後の戦
「柏原麻美(かしはらあさみ)です。都内の商社で働いています。趣味は、料理と甘いものを食べる事ですかね」
世の男性が嫁にしたいと思うのは〝料理ができる女性〟。可愛げがあるなと思うのが〝甘いものが好きな女性〟。好きなタイプランキングでは断トツで〝笑顔が素敵な女性〟が票数を獲得していた。
数日前、コンビニで立ち読みをした雑誌の〝あの子がモテる5つの理由〟特集に書かれていた内容をもう一度思い返し、口角をこれでもかと上げた。そんな私は、婚期を逃しに逃しこの度9回目の婚活パーティーに参加をしている32歳。
「料理が趣味で甘いものが好きだなんて、柏原さんは女の子らしいね」
雑誌の特集を元に作り上げたプロフィールを間に受けて、私のことを持ち上げている目の前の彼は、一流IT企業に勤めているというタハラさん。
優しくて、こんな私を評価してくれるIT企業勤務の37歳。と、ここまでは文句なしの優良物件。だがしかし、彼、顔が私のタイプとは正反対。
彼だけではない。ここまで話をした人達は皆一流企業に勤めているけれど、私のタイプである顔なんてたったの一人もいないのだ。
こんなこと、婚期を逃しに逃した残りものである私が言うことではないが、どの人も〝一流企業に勤めている〟ということを除けば本当にただのオジサン。彼らも私と同じ、30を過ぎても結婚ができない〝残りもの〟ということなのだ。しかし、そうは言ってもこの中から結婚相手が見つからなければ私の人生はもう終わりだ。
「すみません。少し、お手洗いに行ってきてもいいでしょうか?」