福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

「そんな後悔、もう二度とさせるわけないじゃん」

「えっ?」

「だって、俺はもう十分だもん。いつも麻美なりに伝えてくれてるの、知ってるよ? 付き合う前、俺のしつこいご飯の誘いに何だかんだ言いながらも着いてきてくれた事も、手を繋いだらぎゅってしてくれる事も。今、こうやって会社まで会いにきてくれて、頑張って話をしてくれてる事も。全部、全部、ちゃんと伝わってるから」

だから、麻美は麻美のままでいいんだよ。と、西宮さんの指先が私の髪を優しく撫でた。

「あー、まさかこんな可愛い事言ってもらえると思ってなかったから、ちょっと戸惑ってるんだけどさ。でも、正直、ちょっと妬いちゃったなー」

顔を上げてみると、唇を尖らせてつまらなそうな顔をしている西宮さん。そんな彼の言葉と表情にすら胸がきゅんとしてしまうのだから、溺愛もいいところだと思う。

「西宮さん、嫉妬とかするんですね」

「え? そりゃあ、嫉妬くらいするよ。好きな女の子が異性と二人でご飯したら、心配になっちゃうし、しかもそれが元彼なら尚更」

恐らく今まで女の子に困った事なんてないであろう西宮さん。そんな彼も嫉妬をするんだな、なんて新たな発見をした私は、口角を自然とあげて西宮さんの胸に顔を埋めた。


「麻美さ」

「は、はいっ」

額を彼の胸から離し、再び顔を上げる。彼は私の顔をいつもと変わらない優しい眼差しで見下ろしながら口を開いた。


「本当に俺のお嫁さんにならない?」


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