福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
永田くんの言葉に、また照れ笑いをして俯く。
相変わらずストレートに気持ちを伝えてくれるんだな、と思いながらも、西宮さんと出会ってからの私は、確かに、少しずつではあるけれど自分に自信が持てるようになったと思う。
それは、紛れもなく、西宮さんのくれる言葉や行動がそうさせていることくらいは考えなくても分かった。
「あの、柏原さん」
「なに?」
「副社長とお付き合いされてるんですよね?」
ごめんなさい、噂聞いちゃいました。
そう付け足して苦笑いを浮かべる彼。私は、少しだけ間を置いた後、ゆっくり首を縦に振った。
「うん。付き合ってる」
私の一言に、永田くんが次に浮かべる表情が頭に浮かんだ。だけど、意外にも彼は、私の想像していた複雑な表情とは違う、真逆の表情を浮かべた。
「おめでとうございます」
永田くんが、くっと口角を上げて笑った。
意外だった彼の表情に少しだけ安心した私もつられて笑うと、永田くんがハッとしたように目を大きく開いた。
「何か用事があるんですよね? 引き止めちゃってすみません」
「あ!そうだった! こちらこそ、仕事中に引き止めちゃってごめんね」
「いえ、お話できて良かったです!お疲れ様です」
ぺこり、と頭を下げた永田くんに手を振ると、私は再び歩き出した。