福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

すると、突然「あ、」と何かを思い出したかのように声を出した西宮さんが続けて口を開いた。


「明日、うちに来ない?」

「えっ?」

突然の一言に、私は口をぽかんと開けた。

「あ、実家の方ね。両親に付き合ってる子いるって言ったら会いたがってたから」

まあ、実家じゃなくて俺の部屋でもいいんだけどさ。と意味深に笑う彼に、私はつい余計なことを想像してしまった。

早くも火照りかけていた顔の熱を手のひらで冷まし、想像をなんとか掻き消すと、私はゆっくり首を縦に振った。


「よし。決まり」


何度も彼は、私に〝結婚〟を考えているということを伝えてくれた。それに、彼と付き合ったあの日から、私も彼と家族になることは覚悟していたし、家族を築くなら絶対にこの人がいいと思っていた。

だから、今更後に引こうなんて思わないし、思えない。だけど。


「挨拶なんて初めてなんですけど、私、大丈夫ですかね」

ご両親に反対されたらどうしよう、と小さく呟く。

「あー、まあ、ちょっとうちは難しいかもしれないね。両親は何とかなるかもしれないけど、特に姉貴がさ」

心のどこかで、西宮さんの口から〝大丈夫だよ〟という言葉が飛んでくることを期待していた。だけど、その期待は見事に裏切られ、私の不安はより一層増してしまった。

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