福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「あ、そういえば。麻美ちゃんって、何歳なの?」
突然思い出したように私にそう問う西宮さん。私は、彼のその言葉を聞いた瞬間、体の動きを止めて視線を彼に向けた。
「それを、今日初めて話す女性に聞きますか」
「あはは、ごめんごめん。でも、同じ会社で働いてるんだからいつかは分かることでしょ? 調べようと思えば調べられるし」
「確かに、それもそうですね。年齢は、今年33になる32歳です」
「あ、俺とそんなに変わらないんだ」
「え、そうなんですか?」
てっきり、副社長という役職に就いているのだから、若い見た目でも40近かったりするのだろうかと思っていたけれど、どうやらそうではないらしい。
「俺は、今年34歳になる33歳」
私は、彼を見たままで次の彼の言葉を待っていた。すると、彼の口から出てきた年齢は、本当に私と近い。
「一つしか変わらないんですね……」
「はは、そうみたいだね」
私より一つしか変わらない人が副社長をしているとは、この世の中色んな人がいるもんだな、なんて思いながら私は目の前にあるカクテルの入ったグラスを口元に運んだ。
「それより麻美ちゃん、まだそんな若いんだったら結婚急ぐ必要ないでしょ」