福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「だって、あんなに簡単に打ち解けちゃうとは思わなかったよ。俺にはなかなか心開いてくれなかったのにさ」
酷いなあ、なんて言いながら拗ねている彼は、本当に私よりも年上なのだろうか。
まあ、年上と言っても一つしか変わらないけれど、年上であるはずの彼がどうも〝可愛い〟と思えて仕方がない。
「お姉さんは女の人だし、西宮さんの家族だから心を開けただけです。それに、私は西宮さんのことを誰よりも信頼してるし、本気だから、今日ここにも来られたんですよ」
割と本気で落ち込んでいそうな西宮さんに声をかける。すると、西宮さんが視線を黙ってこちらに向けた。
「……はあ。麻美のそういうとこ、ほんっとにずるいよね」
「え?」
溜息交じりに発した彼の言葉に間抜けな返事を返す。
「ううん、こっちの話。まあ、でも、あの二人も麻美の良さを分かってくれたみたいで良かった。ひとまず安心」
「はい。そうですね」
「今度は、麻美の家にも行かないとね」
「はい。是非、来てください」
私が笑顔でそう返す。すると、西宮さんも嬉しそうに笑った。
まさか、こんなに早くこんな展開になるとは思っていなかったけれど、早くお父さんとお母さんに、西宮さんを紹介したいという気持ちは少し前からある。
好きだと気づいた瞬間から、この人しかいないと思っていたし、こんなに大好きな人ができたんだと、両親に早く伝えたい。そう思って来たから。