福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「ただいまー」
「麻美、おかえりなさい。ご飯、今日も食べないの?」
「うん。ごめん。ちょっと疲れてるから部屋行くね」
「あ、ちょっと麻美……」
自宅に帰り、一度リビングに顔を出す。
ご飯を食べないことだけを伝えると、すぐにリビングを去る私。その背後から何か言いたげな母の声が聞こえたけれど、私は戻らずにそのまま二階へと上がった。
「はあっ」
部屋に入ると、すぐにベッドの上へとダイブ。大きな溜息を零し、うつ伏せになると、私はまた西宮さんのことを考え始めた。
何度考えたって仕方がないけれど、西宮さんの気持ちが離れてしまったのだとしたら、と考えると胸が痛む。
西宮さんとの距離を感じてしまうのは、気のせいなのか、気のせいではないのか。気のせいではないとすれば、それは何が原因なのか。
それを一人でただ考え続けて、私はまた負のループに陥った。