福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
何度も同じことを考え、同じループを繰り返し続け、ついに一週間が経った。
もちろん、西宮さんとはデートもしていないし、二人で話すことも殆どないままだ。
もう、ダメなのかもしれない。なんて、マイナス思考なことを考えながらぼうっとしていると、時刻は既に16時を過ぎていた。
いくら休日とはいえ、半日以上を部屋のベッドの上で過ごすなんて干物すぎる。
これはいけない、と上半身を起こし、髪に櫛を通す。パジャマにすっぴんのままで階段を降りると、リビングから楽しそうな話し声が聞こえてきた。
お父さんとお母さんだけにしては騒がしい話し声。何か楽しいことでもあったのかと思いながらドアノブを回し、扉を押し開ける。すると。
「えっ⁉︎ に、西宮さん⁉︎」
扉の向こう側に見えるソファーには、スーツを着た西宮さんが腰をかけていた。
「あらぁ、今日は一日部屋にこもってるのかと思ったのに」
降りてくるなら言ってよね、と言って笑う母と、その横にいるのはいつものように柔らかな表情をしているの父。そして、その向かいにいる西宮さんは。
「おはよ。お邪魔してます」
なんて呑気に言いながら、少し気まずそうに笑った。
「お邪魔してますって……西宮さん、どうしてここにいるんですか」