福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
私の疑問に、父と母が顔を見合わせた。西宮さんは相変わらず気まずそうに笑っているし、この三人が何かを隠していることはすぐに分かった。
「麻美、座りなさい」
誰が一番に口を開くのかと思っていると、一番最初に話を切り出したのは意外にも父だった。
私は、「うん」と言って頷くと、父に言われた通り父と母の向かい、西宮さんの隣に腰をかけた。
「麻美もいることだし、言っておこうか」
父は、母の方を向いてそう言う。すると、母はにこりと笑って一度首を縦に振った。
妙な雰囲気に、ごくりと唾を飲んだ。
父は一体何を言い出すのか、と胸をドキドキさせながら父の次の言葉を待っていると。
「最初はあんな事を言ったが、結婚を認めたいと思う」
父は、柔らかな表情のままで、ゆっくり言葉を選ぶようにしながらそう言った。
「西宮くん。麻美のことをよろしく頼みます」
「幸人くんが一番知ってるのかもしれないけど、この子、素直じゃないところも多いと思うけど根はいい子だから。麻美のこと、よろしくお願いします」
父に続いて母が頭を下げる。
急すぎる展開に混乱している私をよそに、西宮さんは笑顔で「はい。必ず幸せにします」と返した。
「すごく嬉しいんだけど、一体何があったの? お父さん、あんなに私が説得してもダメだったのに」
私の言葉に、母がくすりと笑った。
「麻美、本当に気づいてなかったのね。幸人くん、先週の土曜日に挨拶に来てくれた日から毎日ここに来てくれてたのよ」
「えっ?」