福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「満面の笑みだけど、すごいついで感あるわね。あんた、一応私にも凄くお世話になってるわけだし、結婚式だって、可愛い後輩だからって呼んでるのよ? 麻美がお気に入りなのは分かるけど、私のことも少しは敬いなさい」
「ええ!僕、ちゃんと高橋さんのことも好きですし、尊敬してますよ!」
「そう? 本当にそうとは信じきれないから、仕事への誠意で見せてもらおうじゃないの。今度の企画会議、永田の企画期待してるわね」
「ええ、そんな!プレッシャーが……」
純粋な永田くんを少しからかうのが好きだと言う悪趣味な優佳は、そんなやり取りをしながら面白そうに口角を上げて笑っている。
今日もからかわれて、それを間に受けている永田くんを気の毒に思いながら、私はオフィスに向かって三人一緒に歩き出した。
「おはようございます」
企画販売部のオフィスに入ると、私は自分のデスクについてすぐに仕事に取りかかった。
スターホールディグスは文具や家具、雑貨の販売を中心としながらも人事派遣や毎年夏にはフェスの主催までも行なっている多様な会社。
その中で私達は、文具、雑貨の新商品の企画、販売促進活動と、一年に一度夏フェスの企画をしている。
今のような秋の終わりの季節には、春に出す新商品の企画案を会議で提出するのが毎年恒例。まだ新しい企画案を考えられていない私は、急いで作り上げなければならないのだけれど、それがなかなか思い浮かばない。