福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「はは、確かにそうだね。でも、昨日初めて話した時から、麻美ちゃんのこと絶対良い子だなって分かっちゃったんだよね。何ていうかな、フィーリングが合ったって感じたというか。あ。あと、実は俺、麻美ちゃんのこと入社当初から知ってたんだ」
とても冗談とは思えないような真剣な表情で私とフィーリングが合ったなんて言った彼は、次の瞬間、にやり、と笑みを浮かべた。
「ひょっとして、何か、私の悪い噂でもたってましたか?」
少しだけ嫌な予感がした。
普段、仕事は自分なりに頑張ってこなしているつもりではあるが、人付き合いが苦手で、おまけに愛想もない。それから、思ったことをなんでもストレートに伝えてしまうという難ありな性格を持つ私。そんな私のことだから、きっと良くない噂が西宮さんの耳に入っていたに違いない。
そう、思っていたのだけれど。
「違う違う。そうじゃなくて」
「え? それじゃあ、なんですか」
「約三年前かな。麻美ちゃんが、面接で言ったこと覚えてる?」
「面接で、私が言ったことですか?」
そんなの、覚えてるわけないじゃないですか。と、付け足そうかと思ったその時。目の前の西宮さんが腕を組み、ゴホン、とわざとらしい咳払いをひとつ。
「それでは最後に、君をこの会社に迎え入れたとして、この会社には一体どんなプラスなことが起こるかな? この会社に自分を売り込んでみてくれたまえ」