福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
運命のブーケトス
出会って間もないというのに、どうしてか西宮さんに心を動かされてしまった私。それは、単に貰い慣れていない言葉を貰ったからなのか、それとも、他の何かか。原因は考えても分からない。
「優佳、ついに明日だね」
二人で仕事帰りにご飯に行ったあの日から西宮さんに会わないまま、一週間が経った。
時々、会社で西宮さんの姿を探してしまう瞬間があるくらいには、私は早くも西宮さんの存在が気になり始めているらしいけれど、今はそれどころではない。
「ああ、本当に緊張する。無理。もう吐きそう」
ついに、明日は優佳の結婚式。
結婚式の前日である今日、突然優佳から連絡があり、二人行きつけのカフェでお茶をしているけれど、この数十分、ずっと彼女は顔を青くして尋常じゃない程の緊張感を抱えているようで。
「今こんなに緊張して、明日大丈夫なの?」
「大丈夫じゃない……」
いつも明るくて、サバサバしているけれど基本は楽観的な優佳。彼女がこんな風にして緊張をしている姿なんて初めて見たかもしれない。
いかに結婚式というイベントが大きなものなのかを改めて感じながら、私は向かいに座りぐったりしている彼女の肩を少しさすった。