福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

「麻美は難しく考え過ぎなのかもね」

「え?」

「どうせ、先のことを事細かく考えたり、自分と相手のスキルや相性分析したりしてばかりいるんでしょ? それじゃあ、好きな人なんてできないよ」

目の前にあるショートケーキを一口分口元へ運び、もぐもぐと口を動かす優佳。


「結婚に焦り過ぎてるからか、麻美はちゃんと恋愛しようとしてない。初めからこの人と結婚したらこういうメリットがあって、デメリットがあって、なんて考えてたら楽しく恋愛なんてできるわけないじゃん。理屈で恋愛はできないし、ようやく彼氏ができたと思っても失敗したくないからって自分を繕ってる。相手と自分の相性なんて、偽りの自分で合わせたって仕方ない。いつかボロが出るし、そんなことで結婚が成功したって得るものはないよ」


確かに彼女の言う通りで、私はここ数年、婚活パーティーや紹介で出会う男の人のことを必ず初めから自分に合うか合わないかを分析する癖ができてしまっている。

この人と結婚したら、ここはメリットで、こういうデメリットがありそうだな、なんて勝手に考えて、メリットが無さそうな人なら身を引いて次を探し出す。

その割には、良いなと思う人がいても、この年齢のせいか、失敗を恐れてうまく動けずにいる間に他の人にとられてしまうというのがお決まり。

〝歳を重ねる〟というのは本当に恐ろしいもので、若い頃なら簡単に出来ていたことも難しくなる。告白やアピールはもちろん、デートへ誘うことも、連絡を取ることも、色々深読みして慎重になり過ぎてしまう。

< 32 / 145 >

この作品をシェア

pagetop