福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

私の問いに、優佳の口がへの字に曲がる。

彼女はしばらく何かを考え込んだ後、私を真っ直ぐ見ながら再び口を開いた。


「好きなところは並べればたくさんある。もちろん、逆に嫌なところもある。だけど、どうしてこの人が好きで結婚しようと思ったか、っていうのは分からない。どうしてかこの人じゃないと嫌だと思った。本当に、それだけ」

「そうなんだ」

「だって、条件で並べられるなら、その条件を満たしてる人なら誰でもいいと思わない? だけど、そうじゃないんだよね。本当に、理屈なんかじゃなくて彼しかいないの」

麻美にもきっとそういう人がいるよ、と言って笑う彼女の言葉は、曖昧なようで、間違いのない答えだと思った。

恋は理屈じゃない、と恋をした人は言うけれど、本当にそうなのかも。

私もそういう恋をいつからかできなくなってしまったけれど、いつか、そんな人に。そんな恋に巡り会えた時には、ちゃんと大事にしたい。そう思った。



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