福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「優佳!おめでとう。すごく綺麗」
「あー!麻美、ありがとう」
結婚式当日。
本当に、昨日までの緊張なんて無かったかのように堂々とした綺麗なドレス姿でガーデンチャペルに現れた優佳。
挙式とフラワーシャワーを終え、少しの間の撮影時間が設けられると私はその隙に優佳のもとに駆け寄った。
「あ、そうだ。次はブーケトスだからしっかり受け取ってよね」
「えっ⁉︎ 待って、私は……」
「それでは、お待ちかねブーケトスに参りたいと思います。優佳さーん!ブーケトスの準備をお願いします!」
最後ににやりと笑った優佳は、かすみ草のブーケを両手に持ち、司会者の元へと足早に駆け寄っていく。
司会者の女性が「女性の方はどうぞ前へ出てください!」と笑顔で声を掛けると、ぞろぞろと若い女の子が前へと進んでいく。それとは反対に、私を含む30代過ぎの女性は一歩後ろに下がり、未婚であることを恥じらっているような様子。
結婚式のこの瞬間ほど、恥ずかしいものはない。張り切ってブーケトスを貰いに行けるわけもないし、かと言って未婚のくせに既婚者の中に混じるわけにもいかない。
なんとか耐え抜こう。そして、優佳には悪いけど私は絶対に受け取らまい、とまた一歩後ろに下がる。すると。