福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
いつのまにか宙を浮いていたらしいかすみ草のブーケが大きな弧を描いてこちらへと向かってきていた。
「えっ⁉︎ え、ちょ、待っ……!」
ブーケの落着地点から離れようと、再び足を後ろに下げる。しかし。
「わあっ⁉︎」
あと一歩、あと一歩、と足を下げていく私の腕の中に、見事にすっぽり収まってきたブーケ。
ブーケが腕の中に収まったことに驚き、ついバランスを崩した私の体重がすべて後ろにかかってしまった。
あ、やばい。倒れる。
咄嗟にそう思った私が目を瞑ると、背中に、どん、と何かが当たった。
ああ、危うくブーケを受け取った挙句、盛大な尻もちをついて大恥をかくところだった。
ほっと安堵の息を漏らし、なんとか一命を取り留めた私が後ろをゆっくり振り返る。すると。
「ブーケを受け取った麻美ちゃんを、俺が抱きとめちゃった」
次は、俺たちの番かもね?
と、楽しそうに笑っている西宮さんの姿が私の真後ろにあった。
「えっ⁉︎ な、なんで西宮さんが!」
「え? なんでって、俺も招待されたから、かな?」
「えっ?」
けろっとした表情でそう答えた西宮さん。彼は、そのけろっとした表情を一度崩すと、すぐににやりとした笑顔に戻した。
「俺の腕の中、そんなに心地いいの?」
みんな見てるけど、と付け足した彼の言葉にはっと我に返った私は、本当に彼の両腕に包まれてしまっていたことに今更気がつくと、慌てて距離をとった。