福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「柏原さんって、副社長とすごく仲が良いんですね」
左側からひょこっと私の視界に映り込んできた永田くんの一言に、私は目を丸くした。
「違う違う!副社長が私のことを一方的にからかってるだけだから」
慌てて口の中に残っていたステーキを飲み込み、私は必死で顔を横に振った。しかし。
「そうそう。会社ではあんまりそういうところ見せてないけど、実はすごい仲良いんだよね」
「は⁉︎」
私と永田くんの会話を聞いていたらしい西宮さんが私達の会話に割り込んできた。
その西宮さんの一言でもともと丸くて大きな目を更に大きくした永田くんは何を思ったのか「付き合ってるんですか?」なんてに西宮さんに問い始める。
「うーん。そうだね。まだ、付き合ってはいないかな?」
「だから、そういう誤解を招く言い方をしないでくださ……」
「あ、そうだ。ちょっと他の同級生と話してくるからまた後でね。麻美ちゃん」
誤解がこれ以上大きくなる前に西宮さんの暴走を止めなければ。と、思うけれど、彼は、私の言葉を遮り悪戯に笑うと足早にこの場を去って言ってしまった。
恐る恐る永田くんの方へ顔を向けるけれど、案の定、永田くんは目をうるうるさせながら私をじっと見つめていた。
「柏原さんもやっぱり、西宮さんみたいに男らしくて仕事のできる人がタイプですか?」