福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「やっぱり仲良いじゃない」
急いでいたのかハンバーグ定食を平らげるとすぐに去って行った西宮さん。彼がいなくなり、永田くんもオフィスに戻ると優佳がにやにやした表情を浮かべて私に言った。
「仲良くない。あれのどこが仲良く見えるの」
「えー、私にはどこからどう見ても仲良く見えたけどな。それに、麻美も満更でもないでしょ?」
ちょっと嬉しそうにすら見えたな、と笑った優佳の言葉に私は目を丸くした。
「嬉しそうって……」
「でも、嫌じゃないんでしょ?」
「それは……まあ」
そうなんだけど、と小さく零す。
確かに、なんだかんだ言って西宮さんとあんな風にして話すのも、ご飯に誘われるのも嫌ではない。寧ろ、私の方は西宮さんと一緒にいるのは楽しいとすら感じることもあるし、何より彼は、出会ったあの日から、あっという間に私の中で気になる存在というポジションまで登りつめてきた人だ。嫌なわけはない。だけど。
「でも、西宮さんって目立つし人気も高いし、なんか、最近特に女の子からの視線が痛くて……」
「何言ってんの!そんなこと今に始まった事じゃないじゃない。西宮さんのファンは麻美が思ってる以上に多いんだからね? だけど、そんな西宮さんが麻美を気に入ってくれてるんだから、麻美は堂々と胸張ってたらいいだけよ」