福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
西宮さんのファンが多いということは前々から分かっていたつもりだった。よく噂は聞いていたし、一番身近にいる優佳もそのうちの一人だったから。だけど、西宮さんと社内で関わるようになってからはそれを身をもって痛感している。
西宮さんが食堂で私達とご飯を食べるようになったこともそうだけれど、優佳の結婚式でも、招待されていた他の女性社員の視線が痛かった。
あのブーケトスの事故と西宮さんが食堂に来なければこんな事にはならなかったはずなのに。
「西宮さん、私を気に入ってるというよりは、からかって遊んでるような気がするけど」
溜息交じりに呟く。すると、優佳は少し間を置いた後でくすりと笑った。
「確かに、それもあるかもね。麻美って面白いから、からかい甲斐があるし」
「面白い?」
「仕事もそうだけど、人としても固すぎるくらい真面目で見てて面白いよ? 思ったことズバズバ言ってくれるし。好き嫌いは分かれそうだけど、私は麻美みたいな子好き」
「それは、褒められてるのか貶されてるのかよく分かんないけど。ありがとう」
真面目で固くて、思っていることをズバズバ言う人間が果たして面白いのかは疑問だけれど、優佳がそれでいいと言っているならいいか。なんて、単純な私は少しだけ口角を上げた。