福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
無条件な恋
「どう? 良い企画案は浮かびそう?」
他愛もない話をしながら食事を進める事約30分。目的をすっかり忘れていた私は、西宮さんの一言にハッとした。
「あ。今、忘れてたって顔した」
「すみません。ご飯があまりにも美味しくて、つい」
「あはは。それは良かった」
インテリアや内装はもちろん、料理も見栄えも鮮やかでオシャレ。見た目に味が劣る、なんてことは、見た目が最も重視されると言っても過言ではない今の時代には多々あることだけれど、ここの料理は味が見た目を超えている。
ピザを一切れ持ち上げると、私はそれを口に運んだ。歯で切り離すと線を描くように伸びるチーズがたまらない。
口内に含まれた一口分のピザをもぐもぐと味わいながら噛んでいる私がふと視線を西宮さんに向けた。すると、いつからか分からないけれど、西宮さんは頬杖をついて私をまっすぐ見ていた。
「な、なんですか」
ばちっと合ってしまった視線に戸惑いながらそう聞くと、彼はまた少し口角を上げた。
「いや、良い食べっぷりだなと思ってさ」
「な……!」
「あ、これ、褒めてるからね? ダイエット志向な女の子よりも、そうやって美味しそうに食べてくれてる子の方がご馳走のしがいがあるし、何より、麻美ちゃんの幸せそうな顔が見られるのは嬉しいからね」