福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「ええっ⁉︎」
突然すぎる彼の一言に、手にしていたピザが真下にあるお皿へ落ちてしまった。テーブルが汚れてしまっていないかを確認した私が西宮さんに視線を戻すと、彼は「なんてね」なんて悪戯に笑った。
「そういう冗談はやめてください」
心臓に悪い西宮さんの冗談にほんの少しの安心し、だけど、ガッカリもしてしまっていた私は、お皿の上にあるピザをもう一度手に取ると口に運んだ。
「まあ、冗談でもないんだけどさ。それより今日は、企画案を考えるのが先かなと思って」
益々何を考えているのかが分からない西宮さんの言葉たち。それに一つずつ反応していてもキリがない。
私は、これが好奇心なのか、それとも期待なのかはよく分からないけれど、西宮さんの言葉の真意を知りたいという気持ちを抑えて真剣に企画案を考えはじめた。
食事を進めながら店内を見渡し、ディスプレイされている古い文房具や最新の文房具を観察した私は思考をフル回転させる。
「西宮さん、あそこに販売されてるメモあるじゃないですか」
「あ、うん。あの動物の形してるやつだよね。前にさ、デスクの上に置物みたいなの置いてあるから何かな、と思ったら動物の身体の部分にメモが書いてて驚いた記憶がある」
「そうそう、それです。あれ、凄く流行りませんでした?」
私の視線の先にある、文房具が販売されている棚に立っているブタの置物のように見えるメモ。
今でも使われているけれど、あのメモは一時期女子の中でブームが起きていた。
ひっそり私も持っていたけれど、使うのが勿体なくていまだにカバンの中にひっそり仕舞われているくらい、可愛らしいビジュアルが人気に火をつけた商品だ。