福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「あれはかなり流行ってたよね。特に、女子の中で」
「そうなんですよね。あんな風に可愛いビジュアルっていうのもやっぱり今は重視されるじゃないですか。食べ物も、持ち物も、やっぱりSNS映えするものを女の子は好むというか」
「確かに。そういう風潮はあるよね。だけど、最近発売されたペン立てに立てられる付箋もスタイリッシュで、おまけに使いやすいから話題になってた」
あれは正直驚いたな、と言った西宮さんが話題に出した付箋。私も大きな文具店でその商品を見たときには驚いた記憶があるな、と心の中で頷く。
「スタイリッシュで、使いやすくて、尚且つ写真に映える文房具っていうのがポイントになるかもね」
「なるほど……」
西宮さんの口から発せられた三つのポイントを頭の中でぐるぐるとリピートする。
新しい便利な文房具を生み出すことも勿論大事だけれど、今まで使い馴染んできたものを更にスタイリッシュに、デザインを新たにすることも重要なのか、と考えを新たにすると、不思議といい案が浮かびそうな気がしてきた。
「失礼します。文具パフェでございます」
ぼうっと店内を眺めていた私の視界にエプロンをした店員さんが現れた。トレーの上にのせられたパフェがテーブルの上に置かれると、私はゴクリと唾を飲んだ。
西宮さんと二人揃って「ありがとうございます」と店員さんに告げた後、私は目の前に置かれたパフェをまじまじと見た。そんな私の姿に、西宮さんは肩を震わせて笑い出す。