福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
その後。私は結局、西宮さんの目の前でぺろりとパフェを平らげた。その間、私が食べ終わるのを待っていてくれた西宮さんは、私の企画案のアドバイスまでしてくれた。
お陰で企画案は頭の中でまとまり、翌朝すぐに企画書の作成をした私はなんとか企画書を提出して気分も良いはず、なのだけれど。
「西宮さん。私、今日、髪巻いてみたんですけど、どうですかぁ?」
「ああ、うん。凄く似合ってると思うよ」
「本当ですか? やだぁ、嬉しい!」
お昼休み。優佳と社員食堂へ向かっていると、偶然、廊下で明るめのブラウンの髪をゆるく巻いた女性社員と話をしている西宮さんを見かけた。
西宮さんに髪を褒められた女の子は嬉しそうに口角を上げて喜んでいる。女の私から見ても可愛らしくて、西宮さんのことが好きだということも分かるような大きなリアクション。可愛らしい子にこんなリアクションをしてもらえたら、男性は堪らないだろうな。なんて、思っていると。
「麻美、妬いてるんでしょ?」
優佳が、そっと私に耳打ちをした。
「ばか!そんなわけないでしょ。私には関係ない」
優佳の言ったことを即座に否定し、前方に西宮さんがいる通路を避けるように私が右に曲がる。すると、後ろからついてきて隣に並んだ優佳が何やら楽しそうに笑いだした。