福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「副社長の事で悩んでるか、悩んでないかは置いておいて……どうして、そう思ったの?」
「柏原さんが副社長に恋をしてるように見えるから、ですかね」
「何を言い出すのかと思えば、永田くんまでそんな事言う」
私は、お昼優佳に言われた言葉を思い出した。
〝麻美、もう絶対に西宮さんのこと好きでしょ?〟
西宮さんが他の女の子と話している現場を見て、モヤモヤとし始めた私に優佳が言った言葉。それと同じような事を永田くんまで言い出したから、私は驚きを通り越して呆れていた。
「西宮さんの事、好きじゃないよ。恋なんて、してない」
……と思う。
否定しておきながら、自分でも自信はない。そのせいか、いつもより発した言葉の歯切れが悪いのが自分でもよく分かった。
「柏原さんって、こういうところは不器用なんですね」
「え?」
「今、好きじゃないって言った後に自信のなさそうな顔しましたよね。いつも仕事をそつなくこなして、自分の意見をしっかり主張できるかっこいい柏原さんばかり見てきたけど、こういう一面もあるんだなって思いました」
永田くんがいつものように人懐っこい笑顔をつくった。
「僕、応援しますよ」
「え?」
「柏原さんが幸せになれるなら、応援します。協力は、ちょっとできないですけど」