福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

「ほら、そういうことですよ。柏原さんの言う条件なんて、ただの建前。本当は〝この人と結婚したい〟って、自分の中で決まってるんじゃないですか?」

永田くんの言った〝この人と結婚したい〟と私が思っている人。それは、間違いなく西宮さんを指しているのだろう。

前に優佳に言われたこととよく似たことを言った永田くん。彼の言葉を聞いて、どうしてか突然、すうっと心が軽くなった。

私は、永田くんや優佳に背中を押され、ついに自分の気持ちに嘘をつけなくなるところまで来てしまったようで。



「……うん。永田くんの言うとおり、そうかもしれない」



ビールジョッキを片手に、こくり、と小さく頷くと、顔が少しだけ熱くなった。



ああ、もう引き返せない。



───どうやら私は、西宮さんに恋をしてしまったらしい。









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