福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
自分の気持ちに〝恋〟という名前をつけ、認め、勇気を出してそれを伝えたら、好きな人が本当に嬉しそうに笑ってくれた。
それだけで、本当に幸せだというのに、この先もっと幸せな事がたくさん待っているに違いない。そう思うと、口角が上がりっぱなしだった私。
────しかし。翌日、私が会社に入った途端に感じる痛い視線。あらゆる場所から疎らに刺さってくるその視線は、主に女子から感じていた。
女子から殺気にも似た視線を感じている私は、何となくだけれど、視線を向けられている理由が分かった気がした。
「あー!麻美!麻美」
困った、と溜息をついたその時。向かいから、慌てた様子で走ってくる優佳が視界に入ってきた
「優佳、おはよう」
「ああ、うん、おはよう……って、ちょっと!あんまり呑気に挨拶してる場合でもないのよ。社内であんたの噂が回ってて、私、慌てて来たの」
優佳の言葉に、やっぱりそうか、と納得した私は周りの視線に耐えながらエレベーターに向かって歩き出した。
「心配かけてごめんね。噂って、西宮さんとのことだよね」
「うん。そうそう。何よ、やけに冷静ね。まさか、本当に付き合っちゃったわけ?」