福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「麻美、おはよー」
「あ、優佳。おはよう」
───翌日。
相変わらずどこかしこから感じる痛い視線。それを浴びながらオフィスに入った私は、自分のデスクのイスへ腰掛けた。
右隣の席の優佳と挨拶を交わすと、パソコンの電源を入れ、引き出しから商品カタログを取り出した。
「ねえ、今日のお昼駅前のカフェ行かない?」
カタログのページを捲ると、隣の優佳が身体をこちらに寄せてそう言った。
「うん。永田くんも良いならいいよ」
「あ、今日、永田は一緒に食べないって言ってた。だから、今日は2人ランチね」
「あ、そうなんだ」
了解、と返すと身体を元に戻す優佳。
ここ数ヶ月前に出来た駅前のカフェ。何度か優佳と行こうと話していたカフェだけに楽しみだな、と思いながら、既に立ち上がっていたパソコンで私は作業を始めた。