福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「お待たせいたしました。ランチセットのオムライスと、ロコモコです」
エプロンを肩からかけたスタッフにより運ばれてきたオムライスとロコモコ。優佳の前にはオムライス。私の前にロコモコが置かれると、私は早速両手を合わせた。
「いただきます」
両手を合わせて挨拶をすると、トレーの上に置かれているスプーンを握りしめた。
「あっ!」
「え?」
ハンバーグの上に乗っている目玉焼きの黄身を割る。すると、優佳が何か思い出したのか大きな声を出した。
「何、どうしたの?」
スプーンを握りしめた手の動きを止め、ハンバーグから優佳に視線を移す。すると、彼女は手にしていたスプーンをトレーの上に戻し、私を見た。
「私、麻美に確かめたいことがあったんだった」
「確かめたいこと?」
「そう。いま、このタイミングで言うのはアレかなと思ったんだけど、事後報告は事後報告でまずいかなと思って」
苦い表情を浮かべる優佳に、私何となく嫌な予感がした。
彼女の表情からして、少なからず良い話ではないことは分かっていた私は、少しの覚悟を決めて「なに?」と問う。すると。
「前に言ってた麻美の元カレって、小椋唯(おぐらゆい)って名前だったよね?」