福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
「そんなに結婚したいんだ?」
「そりゃあ、できることなら……」
「どうして?」
「どうしてって……単純に、素敵じゃないですか。自分の人生を捧げたいと思える人がいて、その人も、私に人生を捧げたいと思ってくれるって。そういう、お互いがお互いを必要とし合えるのって羨ましいですし、もし、自分のことを選んでくれる人がいるなら、誰よりも一番近い存在で一番の力になりたいなって思うじゃないですか」
って、私ってばまた余計なことを語ってしまった。
そう我にかえると何だか急に恥ずかしくなってしまった私は何かせずにはいられなくて枝豆を次々口へと放り込んだ。
ああ、早く笑うなら笑って。バカにするならこっちも笑えるくらいにバカにしてほしい。
そう願って副社長の次の言葉を待っているけれど、なぜか一向に彼からの言葉はやってこない。
「ちょっと、何か言ってくださいよ」
流石に何の返答も帰ってこないこの状況が不安になり、顔を上げる。すると、副社長がこちらに優しい眼差しを向けていて不覚にもドキッとさせられた。
「いや、今の言葉、普通にグッときちゃって返事するの忘れてた」
ごめんごめん、と言って思い切り口角を上げながら笑う彼は、本当にあの噂の副社長なのだろうか。
噂では、仕事がバリバリできて、イケメン御曹司で、次期社長だと聞いている。確かに、中にはすごく優しいらしいという噂もあったけれど、私が想像していたイメージとは全然違った。