福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
彼以外にも同じことが原因で別れを告げられた経験があった私は、この性格を何とかしないといけない、って何度も考えた。だけど、大切な人に自分の気持ちを伝えるのは、どうしても照れ臭くて上手く言葉にできない。
〝恋愛〟という感情を抜きにすれば、言いたいことを言うのなんて本当に簡単で、言いたいことを言い過ぎてしまう事が原因で問題すら起こるのに。それなのに、恋愛が絡むとどうも上手くいかない。
だけど、今思えば、それは甘えだったのかなと思う。実際、彼は私に何度となく好きだということを伝えてくれていたのに、私は何一つ返せなかった。それが原因で、こんなにも彼のことを苦しめていたのだから。
「あの時、こうしてお互い歩み寄って話す事が出来てたら良かったのかな」
「そうだね」
あの時、私が唯にしっかり気持ちを伝える事が出来ていたなら。私は今も彼の隣にいたのかもしれない。
あの時、あんな風にしてお互い傷つく事なく幸せに過ごせていたのかもしれない。だけど。
「でも。きっと、これで良かったんだと思う。私は今、こうして話せて良かった」
もう一度あの頃には戻れないし、戻らない。
私は、あの時があったからこそ今の幸せを手に入れられたんだと思うし、大切にしたいと、今、改めて思う事が出来たから。