福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜
無意識のうちに、西宮さんと繋ぐ手に力が入る。
「……私の考えは間違ってました。彼と話をして、また彼に気持ちを惹きつけられるどころか、私は西宮さんの事が好きなんだなって、改めて気づかされました」
今思えば、なんてバカなことを考えていたんだろうと思う。
初めは、好きになるわけないと思ってた。彼を好きになったって仕方がないと思ってた。だけど、気づけば気になっていて、特別で、この人がいいと思うようになっていた。
こんな私の事を好きでいてくれて、嬉しくなるような言葉をたくさんくれるから西宮さんを好きになったわけじゃない。
好きになった理由なんて分からないけど、同じ未来を歩むならこの人がいいと、そう思ってしまったんだ。
「私、彼に〝時々、麻美が分からなくなる。何を思っていて、何を求めてるのか。お互い好き合ってるのかも分からなくなる時もある〟って、最後に言われたんです。普段、言いたいことは何でも言っちゃうくせに、肝心な事は上手く言えなくて、可愛げがなくて。だけど、もう同じ後悔はしたくないから……」
繋いでいた手が突然引かれた。彼に引き寄せられ、そのまま胸の中に収まると「ばーか」という声が頭上から降ってきた。