1日10分、俺とハグをしよう


クラッと、いきなり立ったせいで視界が揺れる


そんな私の腕を泉は掴んで、引き寄せた





「…強気なところは千紗の良いところだけど、
今は大人しく保健室行くよ」


「っ、」




…ムカつくっ…


…耳元で呟くな。子ども扱いもするな。


私のこと、甘やかさないでよっ。




「歩くのしんどい?ふらふらしてるけど」




授業中の静かな廊下で、私の腕を引っ張りながら歩く泉の背中を見る





「…あ、それともお姫様抱っこしてあげよーか」


「バカじゃないの…」





自分で、歩けるし、

仮にでもあんたには好きな人がいるんだから。


そういうこと簡単に言っちゃダメでしょう?




「…あれ、誰もいないや」




保健室の独特な匂い


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