1日10分、俺とハグをしよう


泉は、まだ来てない。

そりゃそっか、HRに間に合うほうが珍しいし。




「(…隣の次は後ろかぁ…)」




せめて少しでも離れてたらまだ良かったのに。


忘れようとしてるのにこの席はひどくない?席替えの神さま。




「…藤堂、は遅刻っと…」




いつも通り、出席簿に印をつける先生


ボールペンを動かすのを止めたところで、前の扉から入ってくる1人の生徒





「せんせー、俺セーフってことで」


「…アホ、アウトだっつの」





猫っ毛の髪の毛に、軽く着崩している制服、

香水じゃない石けんみたいな香り、


切れ長の目に、右耳のピアス





おはよう

って、心の中で言うことにする



だって、何ともないように挨拶するのはまだ私には出来ない


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