いつかその日が来るまでは
「…じゃああたしがなってあげよっか、彼女」

冗談っぽく、そう呟いた。
怖くて先生の顔は見れなかったけど一瞬空気がピンと張り詰めたのがわかって唇が震える。
それでもそれはほんの一瞬で、先生は優しく微笑んで私の頭に手を置いて髪をくしゃくしゃにする。

「そーいうこと簡単に言うなよ。葉月のこと好きな男子が泣くぞー」

先生の子供扱いが牽制だということを理解出来ない程馬鹿じゃない。
でもどうしてかやっぱり今は自分の気持ちを制御出来ない。

「‥私は!」
「葉月。」

先生が私の言葉を遮る。

「折角の若い時間を楽しまないと。」

腰をかけていた先生が立ち上がって、悲しそうに微笑んだ。
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