いつかその日が来るまでは
「…結構前から私ね‥先生のこと、好きだったよ。」

言葉は案外簡単にこぼれ落ちた。
静かな保健室内には私のか細い小さな声と先生の呼吸音しか聞こえない。
まるでこの世界に私と先生しかいないみたいに。

「でも、私もさ‥馬鹿じゃないから先生が私のこと見てくれるなんて、特別になれるなんて思ってない。」

気付いたら好きになってた。
ただ最初からわかっていたのはこれは私の一方通行でしかない恋だということ。

「だからさ、こんな不毛な恋なんてさらーっと忘れて新しい恋しようって、出来る、って‥そう、思い込もうとしてた。でもっ‥」

泣きたいわけじゃないのに言葉が揺れて、目頭が熱くなる。布団を掴む手が震えてる。
恥ずかしい、情けない、色んな感情が一気に襲うけど私は一度した決心を揺るがせなかった。
< 6 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop