狂愛社長に溺愛されてます
「夜、会えないかな?」


「ごめん。夜は……」


「社長か……」



風詩の言葉に頷くことしかできない。

風詩のことが好きなのに。
熱樹さんの約束を無下にはできない。



「……ごめんね」


「いいんだ。俺の勝手な想いを告げただけだから」



あたしの頭をポンっと撫でる。



「……ありがとう」



本当なら、あたしも好きだよって言いたいはずなのに。
どうしてかその言葉が出てこない。
代わりに出てくるのはただのお礼。



「ちょっと前までは俺だけの楓だったのにな」


「え?」


「今は俺だけじゃないね」



風詩の言葉が理解できなくて、首を傾げる。



「そのうちわかるんじゃない?」


「どういう意味?」


「腹立つから教えてあげない」



意地悪そうに笑う。



「気になるー!」


「じゃ、仕事戻るな。楓も頑張れよ」



あたしに手を振って部屋を出ていく。

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