狂愛社長に溺愛されてます
「ここ、来たことある?」



会社のすぐ裏にある料亭。



「ないです!」



会社帰りに横目で見るくらいで、こんな高級料亭はあたしには敷居が高すぎる。



「ここで食べよう」



あたしの返事ににっこり笑って、料亭のドアを開ける。



「あら、白金様いらっしゃい」



綺麗な若女将風の女性が笑顔であたし立ちに向かって頭を下げる。



「あそこの間は空いてる?」


「えぇ、今はちょうど空いております」


「じゃあそこで」



思い通りの座敷が空いていたようで、満足そうに笑う。

しかし、何をしても絵になってしまう人だよなぁ。



「段差、気をつけて」



あたしの肩に手を触れる。



「……はい」



今まで、あたしの隣を歩いていた人たちとは全然違って。
スマートなエスコートに胸が踊っているのがわかる。

彼のやることは全てが自然で早くできた人なんだなと感心する。

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