狂愛社長に溺愛されてます
「どうぞ」



社長室のドアを開け、あたしの背中を押す。



「あ、はい……」



初めて入る社長室。
想像していた部屋とは違って意外に普通の部屋だった。
もっとテレビで見るような煌びやかな装飾でもしているのかと思っていたけど、そんなことはなくてシンプルな白を基調にした部屋になっていた。



「そこに座りなよ」



「あ、はい」



社長に促されて、部屋の真ん中にある茶色のソファーに腰をかける。



「やわらかっ」



座ったソファーがあまりにふかふかで思わず声を漏らす。



「ふっ、そんな反応をしたのは君が初めてだよ」


「あ、ごめんなさい。つい……」



普段、ここの部屋に来るような人はこういったソファーに座り慣れているのだろう。



「君、僕の秘書になるつもりはない?」


「……秘書、ですか?」



社長はこれまで秘書という存在を必要としていないと聞いていた。
すべて自分で管理できてしまうから。

そんな人がなぜ急にあたしにこんな話をしているのだろうか。


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