狂愛社長に溺愛されてます
「まぁ、見られたら楓がヤバイか」



困ったような顔をする。



「あたしじゃないよ。言ったじゃん、クビになるかもって」


「あぁ、大丈夫だよ。そんなの」


「……怖くないの?」



風詩は意外と強いのかもしれないと思った。



「クビにはならないから、たぶん」


「……なんで?」


「うちの母親がさ、会長の旧友なんだよ」


「会長の?」



知らなかった事実にびっくりする。



「うん。コネで入れたようなもんなんだよ、俺」


「……そうなんだ」



コネで入ったとしても、風詩は営業のエース候補だから。
頑張ってるんだし結果オーライだと思うけど。



「コネ入社だからってあぐらかきたくないし、必死に頑張ってきたんだ。こんなんでクビになってたまるか」



近くにあった石を蹴飛ばす。



「ごめんね、あたしのせいで」


「別に楓はなにも悪くねーよ。ただあの社長に惚れられただけだろ」


「……うん」



でも、あたしが風詩に出会ったから。
あたしが熱樹さんに狙われてしまったから。

だから、こうなっているわけで……──

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