狂愛社長に溺愛されてます
「……そうなのかな」


「うん、つーかそろそろ会社入らないとな」



風詩が腕時計に目をやる。



「あ、ほんとだ。怒られちゃう」


「怒られるっていないだろ」


「バレるから」



近くにいなくてもあたしのことなんて全てわかってるんだ。
社長室には盗聴器がいまだについてるし。
あたしがまだ来ていないことなんてすぐにわかる。



「……あっ」



噂をした通りの人物の名前がスマホの画面に表示されてる。



「も、もしもし……」



恐る恐る電話に出る。



『まだ会社についてないようだけど、何してるんだ?』


「会社の前にいます……」



これは事実だ。



『寝坊か?』


「そんな感じです……」



本当は風詩に会ったからだけど。
そんな事言ったら何しだすかわかったもんじゃない。



「楓、乗らないと完全に遅刻するよ?」



風詩がエレベーターを指さす。

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