狂愛社長に溺愛されてます
「勝つとか負けるとか何なんすか……」



熱樹さんのことを睨みつける。



「お前には負けたくなかったんだ。絶対に」


「やっぱり……」



風詩が確信めいたように呟く。



「楓を巻き込むのは間違ってる!」



熱樹さんの手から鍵を奪い取り、檻の扉をあける。



「……風詩」


「俺のせいだ。俺のせいで楓はこんな目に遭ってる」


「どういう意味?」



なんで熱樹さんの執着が風詩のせいなのだろうか。
なぜ、いま風詩がここにいるのだろうか。
わからないことばかりだった。



「あんたの母親、俺の母親だろ?」


「……え?」



風詩の言葉に熱樹さんを見る。



「ずっと恨んでた。父とは別の人との子供を生んだ母親を。そして生まれてきたお前を……」



「……っ」



目を瞑って話す熱樹さんが、今までみた熱樹さんの中で1番辛そうな顔をしていたから。
胸を抉られるような気がした。

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