狂愛社長に溺愛されてます
「また社長のために言ってる」



風詩があたしの頭を撫でる。



「だって……」


「楓はあの社長が本当に好きなんだな」



切なそうな顔で笑う。



「ごめん……」



この一ヶ月、ずっと風詩があたしの支えになってくれたのに。
あたしは熱樹さんのことを忘れるどころか、想いは日々増すばかり。



「大丈夫なのかよ、会っても」


「うん、いつかはこうなるんだよ」



避けていてもこういう機会はまた巡ってくる。
その度に避けていても埒が明かないから。
ここは自分自身のけじめをつけるためにもちゃんと行かないと。



「俺なら避けちゃうだろうけど、楓はやっぱすげぇな」


「そんなことないよ。それにどこかではやっぱり会いたいって思ってるところもあるし」



やっぱり好きだから。
会いたくないなんて、うそ。
好きな人に会いたくない人なんかいない。



「なんかあったら言えよ」


「うん、ありがとう」

< 57 / 71 >

この作品をシェア

pagetop