狂愛社長に溺愛されてます
「ふっ、もう何度も座ってるだろ」



書類から目を離してあたしを見る。



「あっ……久しぶりでつい」



久しぶりに見た熱樹さんの笑みに胸がきゅうっとなる。

こうしているとあの頃に戻ったようで、胸が締め付けられる。
できることならあたしはまたここに通いたい。
執拗に追いかけられたとしても、ここにいたい。

少し異常なほどの愛情表現だけど。
あたしはこの人が好きだから。



「今はアイツと付き合ってるのか?」


「え?」


「風詩と」



熱樹さんからの質問が意外すぎて、言葉が簡単に見つからない。
否定すればいいだけなのに、質問の意図がわからなくて簡単には答えられない。



「いや……あの」


「付き合ってるからってもう復讐とかしないよ」



書類を読み終わったみたいで、引き出しから印鑑を出している。



「そんなこと別に気にしてないです」



風詩と付き合ってないことを言ってしまうと、熱樹さんのことを好きだとつい言ってしまいそうで。

< 60 / 71 >

この作品をシェア

pagetop