狂愛社長に溺愛されてます
「どっち?」



判を押した紙を片手にあたしが座っているソファーに近づいてくる。



「……どっちでもいいじゃないですか」



熱樹さんはあたしのことなんて本当は何とも思っていなかったんだから。
あたしはそれにまんまと騙されて、熱樹さんにハマってしまった。



「よくない」



あたしの目の前に来たかと思えば、急にソファーからあたしを立ち上がらせる。



「熱樹……さん?」


「久しぶりだな。楓」



あたしの頭を撫でる。



「久しぶりって普通、最初に言いませんか?」



そんなことを言ってる場合でもないあたしの心臓。



「最初は、まぁほらビックリしてさ」



ガシガシと自分の頭をかく。



「熱樹さんでもそんなになんか、戸惑うことあるんですね」


「そのぐらいあるよ。俺をなんだと思ってんだよ」



さっきから熱樹さんはなんだか表情がとても優しくて。
あたしのドキドキは止まらない。

< 61 / 71 >

この作品をシェア

pagetop