狂愛社長に溺愛されてます
「今日さ、母さんに会おうと思うんだけど」



帰り道、車に乗り込んだ熱樹さんが緊張気味に話す。



「え、本当!?」



いつか会いたいと言っていた熱樹さん。
そのいつかがなかなか来なくて、もうお母さんに会う気なんてないんだと思っていた。



「うん。俺も親になるしちゃんと会ってスッキリしたいなと思って」


「うん。行こう」


「随分かかっちゃったな」



ハハッと笑ってハンドルを握る。



「大丈夫だよ。あたしがついてるから」



ハンドルを握る手にそっと触れる。



「うん。楓がいれば心強い」



ずっとお母さんのことで悩んできた熱樹さんに寄り添いたい。

結婚式の時も悩んでいた。
呼ぶか呼ばないか。
でも、結局呼べなかった。



「あたしも会えるの楽しみだよ。熱樹さんのお母さんに」


「風詩と同じ顔してんぞ」



可笑しそうに笑う。

入社式の時に、風詩を見てすぐに自分の母親の子供だと分かったという。
名前を確かめて確信したと。

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