狂愛社長に溺愛されてます
「ほら、行くよ」



あたしの背中を押す。



「はい、じゃあ風詩」


「お。おう」



完全に苦笑いだ。


風詩とはもう前のような関係になれなかもしれないと思う。



「どうして風詩にあんなことを言ったんですか?」


「君は彼のことが好きだね?」


「……っ」



あたしと風詩は同期で同じ部署に配置されて、いつも一緒だった。
どんな時もあたしを助けてくれる彼に恋をしないわけなんてなかったんだ。



「僕は昨日言ったはずだ。君に一目惚れをしたとね」


「はい……」



信じられない話だけど、昨日言っていたのはたしかだ。



「君に僕のことを好きになってもらいたいんだよ」


「そんなこと……」



好きになれるわけなんてない。
だいたいにして好きになれる要素なんてない。
あたしはお金にも興味無いし。

興味があるのは好きな人との幸せな暮らしだけ。
風詩といつかって夢をみてたし、風詩だってあたしのことを想ってくれてるはずだった。

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