愛しのエマ【完】


移動です。

デスクを総務から
副社長室に移動しました。

本当の秘書の仕事は
遠藤さんという綺麗な秘書さんがこなし
私の仕事と言えば


「エマ―ーーーー!」

副社長室で留守をしながら
外回りから帰った副社長のハグの相手。

冗談じゃなくて
本当に
抱き枕の仕事でした。

朝からの会議が終わり
部屋で遠藤さんとの打ち合わせが終わり
遠藤さんが帰ったら

すぐ
ハグハグ。

ギューっと私を抱きしめる副社長。

もう慣れました。
30万円の代償です。

「奈緒さんが来てくれてから、僕は元気になりました。毎日楽しみですヤバいです。ありがとうございます」

そのヤバいの使い方は
正解か不正解か自分でもわからない。

「お昼の用意をいたします」

「うん。あと10秒ね」

ぎゅぎゅぎゅぎゅーーーっ!
背の高い王子様にギューっとハグハグ。
知らない人から見れば
うらやましい図かもしれないけれど

愛じゃなくて
仕事と思うと
ちょっと虚しかったりして。
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