この手で君を、抱きしめたくて
「なあ、遥輝」

「ん?」

「前に、遥輝言ってただろ。この仕事を選んだ以上、普通の幸せは諦めないといけないって」

「ああ…」


「でも俺は、そうは思わないんだ。守りたいものがあるほど、普通の幸せを掴もうとするほど、強くなれる。今は、そんな気がしてる」


そう力強い目をして言う翔を見て、俺は何も言えなくなった。


そしてハッとした。

そうか…俺はあの時、逃げたんだ。

守りたいものを背負う責任から…
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