わたしは今日もあなたの隣で
ナオくんの病気が治らないと分かったあの日から、こういうことがよくある。
気づいたら泣いてること。
「…沙世、泣いてる?」
声にハッとして私はナオくんをみる。
「…起きてた、の」
いつのまにか目を開けていたナオくんが私の頬を優しく撫でる。
「ごめん、俺のせい?」
私は慌てて顔を横に振る。
「バカ沙世、俺の前で嘘つくなよ、わかるんだからな」
「な、ナオくんだって無理してるじゃん!私だけじゃなくて祐美さんの前でだって…」
ナオくんは、病気のことも、自分がいつ死ぬかわからないことも、祐美さんには言っていない。
「…あいつには、苦しい思いして欲しくない。祐美の前では笑ってたいんだ。」
「でも…いつかは知っちゃうんだよ?結局同じじゃない」
ナオくんはいつまでそうやって嘘をつき続けるの?誰の前だったら無理してない自分になれるの?