わたしは今日もあなたの隣で


「…祐美」


ナオくんの視線の先には、いつのまにか病室に入っていた祐美さんがいた。


「…なんの話、してるの」


ナオくんは、なにも言わない。でも、焦っているのが伝わってくる。


「ねえ、本当に尚人はただの風邪なの?」


私は涙を急いで拭きながら、俯く。


祐美さんの顔を、見ることができない。


「…その子には言うのに?なんで、私には言ってくれないの?」


「祐美、あのな、」


「私、なんなの?…私、ちゃんと、尚人の彼女でいられてるの?」


辛そうな祐美さんの声に、思わず私は顔を上げた。


祐美さんの頬を伝う涙。


それをみた瞬間、私は気づいてしまった。


…邪魔者は、私なんだ。

< 12 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop